密着!「認知症と向き合う介護現場から」第1回

2018/08/02
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初出:2018年8月2日|最終更新:2020年3月20日

 

 

「認知症と向き合う介護現場から」は、 認知症や介護に日々向き合っている介護現場のリアルな肉声を届けたいと思っています。

 

今回は、神奈川県藤沢市の鵠沼(くげぬま)にあるグループホーム、セントケアホーム鵠沼(以下、ホーム鵠沼)を訪ねてインタビューを行いました。

 

鵠沼は都心部まで電車で50分に位置し、多くの観光客が訪れる湘南のビーチ(鵠沼海岸)を擁します。この鵠沼海岸から小田急江ノ島線で1駅の本鵠沼駅より徒歩8分の閑静な住宅街の中にあるのが、ホーム鵠沼です。
ここでは、認知症の診断を受けたお客様が少人数で、家庭的な雰囲気と地域との交流の中で、介護を受けながら日常生活を営むためのケアを受けています。

 

 

ホーム鵠沼の所長(注:初出日時点での肩書) 井藤知美さんに認知症介護に関する思いを伺いました。 全5回に分けてお送りする予定です。

 

 

Q.ホーム鵠沼はどんなホームですか?

 

「人通りが多くて、近隣の方の散歩コースになっています。お客様と散歩をしていると声をかけてくださります。」

 

「人が集まる場所をつくりたい。スタッフももちろんだが、近所の人がちょっと相談に寄れる場所にしていきたいと思います。」

 

Q.今回のテーマの認知症についてはどう思われますか?

 

「認知症だからあれができない、これができないとあきらめるのではなくて、認知症になっても、認知症だけど幸せと、そういう生活ができる世の中になったらと思っていて。」

 

「今は認知症になったら仕方がない、隠したくなると思われています。ここをオープンな場所にしたい、もっとオープンに認知症のことも話せるようになりたいと思っています。」

 

「ある方が認知症は神様からの贈り物って言ったんですね。認知症になっちゃって悲しいんじゃなくて、認知症は贈り物だと思えるって素敵だなって。実際にご家庭で生活していらっしゃたときには家族と一緒で大好きな自分の家にいたけれども、お困りごとが多くなって、不安な日々を過ごしてきた方々が、決心して、グループホームにご入居されます。でも、スタッフが関わることで笑顔が戻ってきて、おうちではないんだけれども、ここが第二の家になって、ご家族も頻繁に来てくださって、もう一軒家が増えたくらいに思ってもらえたらいいなって。そんなことを見学に来られた方に話をしています。施設と思ってほしくなくて家と言ってます。」

 

Q.認知症ケアについてはどう思われますか?

 

「認知症ケアは、結局やればやるほど、認知症だからそうしてほしいのではなく、認知症の方だけでなく、「私」だってそうしてもらいたいことだと思います。やさしく声をかけてほしいし、困っているときは助けてほしいし、仲間がほしいし、行きたいとこに行きたいし、食べたいものを食べたい。認知症だからそうしてほしいのではなくて、人としての当たり前のことなので。認知症だから特別扱いするのではなく、人間として当たり前の欲求というか、そこが自分の力でできなくなってしまったところを私たちがちょっと介入させていただくイメージです。」

 

編集スタッフのコメント

インタビューは2時間半にも及びました。

 

井藤所長の介護や認知症ケアについての思いはとどまることを知りません。 次回以降、引き続き、その思いを掘り下げて紹介していきたいと思います。

 

 

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